彼方へ
死ぬのもいやだし、生きるのもいやだ。
会うのもいやだし、会わないのもいやだ。
死屍累々の若い時代からよくここまできたとは思うけれど、流石に悪運もここまでか。
生活保護の先輩H、行方不明の大親友H、やけになって飲み過ぎて肝硬変で死んだ後輩K、あれだけツルんで遊んだのに何も言わずにあっさり死んじまったD、明日の金もないT。
自殺した奴もいたな。息子に自殺された奴もいる。他人の地獄は見えない。だから自分の地獄も他人からは見えない。わかっちゃいるんだけどね。
しかしHはモテたなぁ。俺のカリスマだったのに。生きているうちに会いたいけれど、それはお互いの時間が許してくれないだろう。
ホントに本当に楽しかったよ、ありがとう。
全く怖いもの知らずで、月日がわからないくらい遊びまくった日々が、もうこんなに遠いなんて信じられない。
若さとはバカさのことだ、という言葉通りの暮らしだった。だからずっとバカできちゃった。何度死にかかったことか。
他人に言っても誰も信じてくれない、俺だけの大切な大切な思い出。
好きな奴も嫌いな奴もいるだろうけど、そのうち来るだろうと卓を囲んで遊んでるんだろう。その時はニ抜けでいいから入れてください。オバちゃんもオジちゃんも浜のマスターも、宜しくお願いします。